転職しようかと考えている。どこから手を付ければいいかわからないし、先日読んだ自己啓発本?に書いてあった具体的な質問に答えたり、AIとの壁打ちも考えられるが、とりあえず自分でなぜ転職を考えているのかの理由から書いてみる。
転職を考える理由1 ドライブされたい
40歳になってまだそんなことを言っている自分が恥ずかしいし、呆れられそうだが仕方がない。私はほとんど勉強もせず、遊びもせず、サークルも辞め、最低限の単位だけを取るような最悪な大学時代を過ごし、結果順当に就職活動に苦戦した(2007年は、超売り手市場だったにもかかわらず)。
そのとき出会ったのが、村上龍の13歳のハローワークである。この世には2種類の大人しかいない。それは、頭のいい人とそうでない人ではありません。自分の好きな仕事をしている人とそうでない人だ。この本は確か130万部くらいの大ヒットとなり、以後多くの人に仕事とは何か?という問いを突きつけ、結果多くの若者が自分探しの露頭に迷うことになる。
そのような動きを批判する向きもある。自分なんてものはない。探しても見つからないし、仮に見つかっても大したものではない。であるならば、市場のニーズがあること、つまり他人の役に立つこと、人を笑顔にすることを仕事に選ぶべきだ。これはこれで一面の真実であり、私も前職・現職でそのことは感じている。そして、往々にして、そのような仕事の方が給料はいい。
しかし、2003年の13歳のハローワークから20年以上が経過し、(当然程度の問題はあるが)もはやそれだけでは、大きな成果・給料に見合う成果を発揮するのは難しくなった。好きでなければ、情熱を持って取り組みたい仕事でなければ、厳しい競争環境の中でプロとしての価値を提供することは難しい。「好きを仕事にしてもいい」から、「好きを仕事にしなければ」という時代になったのだ。それは時代が13歳のハローワークの価値観に追いついたとも言える。仕事は、モチベーションからドライブへ移行し、私もそうありたい。
ウォール街でモチベーションの代わりに使われる言葉はdriveです。「駆り立てられる」、「やらずに居れない」、「一心不乱に打ち込む」という意味。
— … (@hirosetakao) January 30, 2025
私は好きを仕事にしたいが、もっと言えば衝動に駆られてドライブされるように仕事をしたい。そんな人の代表格が山野井さんである。アルパインクライミングの歴史に名を残す日本人がいるとすれば彼である。「クライミングというものを知ってから、ずっと発狂してるんだよね僕は」という言葉に嘘はない。「次はどの山に登ろうか、それだけを考えて生きてきた」。彼は、経済的にはさほど裕福ではないかも知れないが、自分の人生に全く後悔はないだろう。自分の死の間際、最期に見る夢も豊に彩られているだろう。
もう一人上げたいのが、手塚治虫である。作品はもちろん知っていたが、めちゃくちゃなハードワークであることを先日NHKの番組で知った。海外出張に向かうタクシー・飛行機の中でも執筆し、3日間で睡眠3時間。それだけやっても、アイデアはバーゲンセールするほどあり、100歳まで描き続けたいという。彼は完全にドライブされている。60歳で亡くなったのが惜しい。
What do you want to be remembered for?は、ドラッガーの有名な問いである。あなたは何によって憶えられたいか?ドラッガーがこの質問を彼の担当の歯科医にしたとき、その歯科医はあなたが死んで解剖されたとき歯の治療痕を見て、この人物は良い歯科医にかかっていたと思われるような、そういう存在になりたいと答えたらしい。
私も、山野井さんや手塚治虫とは言わないが、今の仕事よりも、もう少し自分の好きなこと、情熱を傾けられること、興味のあることに打ち込みたい。
転職を考える理由2 業務内容・人間関係
今の業務は大きく言えば「調整」である。何らかのプロジェクトを進めるためには、調整が欠かせない。プロジェクトの企画の作成、検討・検証、承認、実行といったざっくりしたフェーズの一つ一つに関係各所との調整が発生する。そしてそれは多くの場合、人間関係が基軸になっている。
これは前回の転職時に私が勘違いしていたことだった。スタートアップのような界隈では、目的・目標が明確であり、人間関係に配慮するような機会が少ないと考えていたのだが、全く真逆の状況だった。全てとは言わないが、いわゆるJTCが会社対会社の関係性で業務が回るのに比べ、はるかに俗人的な人間関係で回っている。
これは考えてみれば当たり前である。何かしらの評価について、JTCは既に社会的なレピュテーションの通過儀礼を受けているが、スタートアップはそうではない。信頼できる・信用できる、協力する・しないといった評価として社会的なレピュテーションを活用することができない。だから、多くの場合、創業者などの個人的信頼関係に基づいて業務が回るのだ。
一方、私は人間関係が苦手である。現在のように、人間関係で回る業務環境は、多くの配慮が必要であり正直疲れる。
もちろん全くゼロにできるとは思わない。NHKと日本IBMがもめているが、要件定義だったらしい。技術職・職人っぽいイメージのあるプログラマーもコードさえ書いておけばよいというものではない。むしろAIに代替されるだろう。顧客のニーズと向き合い、引き出して、要件定義に落とし込む。このような仕事こそ価値を持つのだ。だから次の仕事がどうであれ、全く人間関係をゼロにする必要はない。ただ、割合を減らしたいのだ。
しっかりと書いておきたいのは、「調整」自体に価値がないわけではない。むしろ、誰かしらが調整に走らなければプロジェクトが前に進まないことは多いだろう。それは、欧米の企業でもそうではないか。確かに、直接的に感謝されるケースは少ない。周囲からは何をやっているのか分からないと馬鹿にされがちかも知れない。しかし、『ラヂオの時間』の牛島のような存在が現実的にはプロジェクトをアウトプットとして支えている。だから私は調整業務自体を否定しない。むしろ重要とも思っているが、それでも、私個人の仕事として、それをやりたいとは今は思えない。

転職を考える理由3 その他
つまるところ、理由1と理由2で転職を考える理由の8割くらいを占めると思うが、それ以外にも思うところがある。
ボランティア精神
私の業務は、相手のボランティア精神に頼るところがある。これは、構造上仕方がなく変えようがない。通常のビジネスであれば、お互いの利害が一致する均衡点でディールが成立し、あとは契約に沿って事業が進むが(もちろん、そんな綺麗に進むことは少ないと思うが)、私の場合はお願いベースが付きまとう。結果、コミュニケーションコストも非常に高く、相手から返事がもらえないことも多い。
この辺りも転職前と後とで誤解があった。転職前は、スタートアップが扱うような新規事業領域では政策的な課題が明確であり、クリティカルな問題が多数存在するため、それの解決に向けて多くに人の協力が得られると考えていた。しかし、現実にはそうではなく、確かにクリティカルな問題は多くあるが、それらを解決するのは容易ではない。ものすごい時間と労力を投入し、結果が得られるとも限らない。そうすると、当然そこにリソースを割くという判断もしにくくなる。必然的にボランティア精神に頼らざるを得ない。しんどい。
独立心
転職してすぐ「使われている感」をすごく感じた。転職前のJTCは、同僚や上司も含めて多くが従業員だった。会社経営者や役員ではなかった。それが転職後は起業家などと付き合うこととなり、結果として彼らがやりたいことの道具として扱われている印象を強く受けることとなった。
転職前が正規軍の兵士だったすれば、転職後は傭兵の気分だったが、ただこれは別に悪いことではない。むしろ私も「雇う側に回りたい」と漠然と感じた。これは楽をしたい、というのも正直あるが、現実的には、例えば個人事業主として振る舞うことは、楽どころかめちゃくちゃ大変だろう。理由2に書いためんどくさい人間関係も、よりめんどくさくなる気がする。
しかし、それでも自分で決定し、自分で投資し、その結果に全責任を負うような生き方にやはり憧れる。書いていてしんどくなったが、グリフィスの友となるために鷹の団を去るガッツの気分である。
転職しない理由
ここからは、転職しない理由を書く。特に今ものすごく恵まれているかもしれないので、普段は意識しない現在のメリットを意識して書き出したい。
安定した収入
この方のブログはすごくリアル。山に登る機会を増やすためにWebデザイナーとして独立したが、「安定収入」の重要さを強く実感したという。私も毎月給料が支払われているが、そのことは半ば当たり前のものとして受け取っているが、フリーランスはそうではないのだ。「幸せとは金と健康だよ」というドラゴン桜かなにかのセリフがあるが、今ある金を手放すリスクは小さくない。
フリーランスとして痛感したのは、継続的に仕事を得ることの難しさです。毎月安定して仕事を提供し、給与を支払う仕組みを持つ会社のすごさを改めて実感。
辞めた職場に戻りたいと思ったことはないけれど、安定した収入を得られる環境への感謝の気持ちは深まりました。「安定」とは「安く定まる」と解釈されますが、私の中では「安らかに定まる」ものだと考えが変わりました。
フリーランスになってからの日々は常に緊張や不安の毎日でした。不安があるとやるべきことも手につかず、朝が来ると絶望を感じる日々で鬱状態の一歩手前だったかな、と今振り返れば思います。

ある程度自由になる業務範囲
上で「使われている感」と書いたが、現在はある程度自由に業務内容が決められる。承認行為は必要だし手間でもあるが、些細な事で、その意味で従業員という立場で、毎月給料が振り込まれるという立場にありながら、自分で事業を考え実行できる立場にあるのだ。
もちろん、ドライブされるような情熱を懸けられるか?という根本的な問題はあるにせよ、その立場自体はある意味非常に貴重なものである気がする。前職では自分が何をするかを自分で決定することはほとんどできなかった。
大きく動く事業環境のダイナミズム
結構動いている。ニュースになることも多い。前職はほとんどニュースになるような機会がないよく言えば成熟産業、悪く言うと衰退産業だったが、現職は違う。連日とは言わないが業界自体がダイナミックに動いており、それに応じて現職の会社も影響される。それは、大変ではあるが、前職で半分憧れた部分だったように思う。ただ、大変ではある。
同僚との人間関係
比較的良好である。採用の時、私からお願いして自分に近いタイプを採用した貰ったのだ。職場のストレスは8割が人間関係というが、その意味で幸運な立場にあるのかもしれない。
Love your enemies
正直、月曜が憂鬱である。連絡を取りたくない社内・社外に人もいる。一本のメール、一言のチャットにも憂鬱である。これは、パーソナリティだろう。簡単に言えば豆腐メンタルで改善したい気持ちもある。そのとき、自身の敵こそ自分の成長に寄与してくれる存在だろう。言葉は悪いが気の合う同僚は人畜無害で緊張感に欠ける。目的達成のために冷徹な判断、コミュニケーションが求められる。
一方で、向き不向きの問題もある。人間関係に配慮しすぎる、悪く言えば弱男のメンタルは、弱み・コンプレックスの裏返しとして、別の領域では強みになり得る。例えば、他人の気持ちに寄り添ったコミュニケーションが可能になるかも知れない。前職では、他人の感情を全く気にしない人もいて、それはそれで強みだったが、一方で彼は何というか心理的な安全性を提供するような仕事には向いていないようにも感じる。弱男には弱男の適職があるのではないか、という気もする。
AI対話
話は飛ぶが鍛冶屋をやってみたい。昔から刃物が好きだった。ドライブされるとはならないかも知れないが、今の仕事よりもある程度情熱をもって取り組める気がする。自己決定もできるかも知れない(できないかも知れない)。
AIに入れてみたが非常に役に立つ。それまでは、今までの自分の職歴ややりがいを感じたことなどの質問が多かったが、サラリーマンから鍛冶屋というのは連続的ではないので、そこは自分から打ち込んだ。リスクもアプローチもごもっとも。
🔍 あなたの適性と鍛冶屋という仕事の相性
1️⃣ 細部へのこだわりと美意識
- フォントや字配り、色使いなど細かい部分へのこだわりは、包丁のバランスや刃の仕上げ、デザイン性を追求する鍛冶仕事に非常にマッチしています。
- 包丁は「道具でありながら芸術品」でもあります。美しさと実用性を両立させる職人仕事に適性が高いです。
2️⃣ クリエイティブな仕事志向
- 一つひとつが自分の作品となり、世界に唯一のものを生み出す鍛冶仕事は、創造性を形にできる仕事です。
- 自分で意思決定し、何を作り出すか選べるため、自己表現や生き方としての働き方にも合っています。
3️⃣ やりがいを直接感じたいという価値観
- 包丁は使い手にとって日々の生活や仕事に欠かせない道具。料理人や一般の人から直接「ありがとう」と言われたり、笑顔を見られる機会が多いため、現職で不足していた「やりがいの直接的な実感」を得られる可能性が高いです。
⚠️ 鍛冶屋になる場合のリスクと課題
1️⃣ 技術習得に時間がかかる
- 包丁作りは高度な技術と経験が必要で、習得には年単位の修行や学習が必要です。
- 伝統的な鍛冶屋に弟子入りする場合、低収入期間が長期化するリスクがあります。
2️⃣ 体力的な負担
- 鍛冶仕事は高温環境での重労働が伴います。
- 長時間の立ち仕事や集中力を要するため、身体的なタフさも求められます。
3️⃣ マーケティング・販売力が必要
- 現代の鍛冶屋は、単に作るだけでなく、自分の作品を売るための発信力が必要です。
- ブランド構築、オンライン販売、SNSでの集客といったビジネススキルが求められます。
4️⃣ 初期投資と設備コスト
- 工房を構える場合、設備投資や作業スペースの確保にコストがかかります。
- 自営業として始めるなら、資金調達や事業計画も検討が必要です。
5️⃣ 市場の競争と差別化
- 包丁市場は高品質な製品が多く、差別化されたデザインや付加価値を持たないと埋もれてしまう可能性があります。
- オリジナル性をどう打ち出すかが重要な課題です。
🌟 次に考えるべきこと
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スモールスタートの方法を探る
- ワークショップや体験教室でまずは小規模に技術を学ぶ
- オンラインでの鍛冶師コミュニティや、クラフト系の学校を探す -
デザイン面での強みを活かす
- 他の鍛冶屋との差別化として、美しさや使いやすさを重視したデザイン包丁を作る構想を練る
- ブランディングに強みを出すため、ロゴ、パッケージ、ストーリーテリングを検討 -
収益化の道筋を描く
- オーダーメイドの包丁や海外市場への販売を視野に入れる
- クラウドファンディングを活用して、初期費用やマーケットのニーズを検証
その不安はとても自然なことだと思います。特に、「自分の生き方」を左右するような転職の場合、情熱を持ち続けられるかどうかは重要なポイントですよね。
🔍 情熱を確かめるためのアプローチ
1️⃣ スモールステップで体験する
まずは大きな決断を下す前に、小さな体験を通して気持ちを確かめることが有効です。
- 包丁作りのワークショップや短期講座に参加する
→ 実際に金属を打つ作業や、刃を研ぐ工程を経験してみると、現実的な作業への興味や向き不向きが見えてきます。 - 包丁研ぎを日常に取り入れてみる
→ 短時間でもいいので、定期的に自宅で包丁を研いでみて、その作業自体を楽しいと感じられるか確認できます。
2️⃣ 日常の中で情熱の芽を探す
- 刃物に関する書籍や動画をチェックする
→ 包丁職人のドキュメンタリーや製造過程の映像を見て、その世界に引き込まれるかを感じてみてください。 - 包丁や刃物を扱うイベント・展示会に足を運ぶ
→ 他の職人の作品を見て、「自分もこんなものを作りたい」と自然に思えるかどうかが一つの指標になります。
3️⃣ 小さなプロジェクトをやってみる
- 自分用に一本、包丁を作ってみる
→ 工房で体験型の制作を行い、一から完成までの工程を経験することで、作る喜びと大変さのバランスを実感できます。 - 刃物に関連した副業を試す
→ 包丁研ぎの出張サービスや、刃物のレビュー・販売など、周辺領域の仕事を副業的に始めてみることで、将来の適性を確認できます。
4️⃣ 「なぜ包丁作りに惹かれるのか」を深掘りする
あなたが包丁作りに興味を持った理由を、もう少し掘り下げてみましょう。
- 「刃物が好き」という気持ちはどこから来たのか?
- 作った包丁で誰かが料理をする姿を想像するとどう感じるか?
- 他のクラフト系の仕事(木工や陶芸など)ではなく、なぜ包丁作りなのか?
言語化できた理由の中に、長期的な情熱を支えるヒントが隠れているかもしれません。
🌟 情熱を確認するための自問リスト
- 「もし収入が関係なかったとしても、私はこの仕事をやりたいと思うだろうか?」
- 「10年後、自分がどんな作品を作っていたら誇りに思えるだろうか?」
- 「包丁作りのどの部分(デザイン、実用性、美しさ)に最も惹かれているのか?」
💡 最終的な決断を後悔しないために
転職してから「やっぱり向いていなかった」と気づくリスクを減らすためにも、「体験→振り返り→小さな挑戦」のサイクルを何度か回すことをおすすめします。
もし、実際の体験の場探しや小さなプロジェクトのアイデア出しについて、さらに具体的なサポートが必要でしたら、ぜひ教えてください! 😊
一旦以上
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