こんにちは
今日は『ユリイカ 増頁特集つげ義春』をご紹介します。この本は、1982年に発行されています。代表作である『ねじ式』や『ゲンセンカン主人』が1968年の発表なので、それから14年後と言うことになります。
私は、漫画ではなく『貧困旅行記』をはじめとしたエッセイでつげ義春に惹かれていて、そのことは、つげ義春が描く孤独や侘しさはファッションなのか? という別の記事で書きました。私の中で、つげ義春の魅力は、ある程度言語化できたと思っていて、まとめ部分を抜粋するとこんな感じです。
- 社会にうまく適応できない「生きづらさ」が彼の底流を流れており、「旅」は、自分自身から自由になれる自己否定である。
- しかし、安易に「旅」を肯定していない。精神薄弱な自分自身を克服し、明るく行動的に家族や社会と接しようと藻掻く姿勢が、彼の作品を特別なものにしている。
このユリイカでは、いろんな方が、つげ義春の作品批評や作家論を寄稿していいます。この頃になると、流石に『ねじ式』や『ゲンセンカン主人』に対する精神学的な分析・批評というものはなくてですね、むしろ1970年代以降のややマイナー、というか一般の方にはほとんど知られていないような作品についての批評が多いですね。
対象となっている、これらの漫画作品を私が読んでいないこともあって、批評の内容自体はピンときませんでした。多分、難しくて漫画を読んでいても理解するのは難しかったと思うのですが、今回このユリイカを読んで、旅・自己否定・生きづらさといったものをテーマにしているらしい漫画作品があるということを恥ずかしながら初めて知りました。例えば、こんな作品ですね。
- 退屈な部屋
- 日の戯れ
- リアリズムの宿
- 夜が摑む
- 外のふくらみ
- コマツ岬の生活
- やなぎ屋主人
- 必殺するめ固め
1970年代のつげ作品は、「旅」と「夢」という2軸だと思うので、これらの中には、「夢」をテーマにした作品もありそうなので、全部が全部という訳ではないと思いますが、1970年代、私の好きな『貧困旅行記』とほぼ同時期に描かれていますので、旅・自己否定といったテーマのものもありそうでした。
実際ユリイカを読み終わった後、ちくま文庫を買っていくつか読んでみたのですが、特に『やなぎ屋主人』なんかは、『貧困旅行記』そのものといった感じですごくよかったですね。これは、私見ですが、つげ義春の魅力の本質は「自己否定との葛藤」であると言って良いのではないかなと思いました。
正直、このユリイカ、読む前は「もうつげ義春の魅力は整理できてるんだよな」と思っていて、つい積読期間が長くなってしまっていたのですが、そういう漫画作品がある、というのを知ることができたのはすごくよかったですね。
まとめると
- ややマニアックなつげ作品への批評や作家論が掲載されている
- 旅・自己否定・生きづらさといったテーマの漫画作品を知ることができた
- 「自己否定との葛藤」が、つげ義春の魅力の本質であり、『やなぎ屋主人』には、そのテーマが色濃く出ている
という感じでしょうか。
一般受けはしないでしょうが、つげ義春を深く知りたい人にはいいかもしれません。
本日は以上です。また次の読書でお会いしましょう。



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