日本の生産性は、なぜ低いのか?
日本の生産性が低い理由はなんだろうか。
日本生産性本部の報告書によれば、図の様にずっと20位以下。あの怠け者っぽいイメージのイタリアよりもずっと低いのである。
中小企業が多すぎる
原因は諸説ある訳だが、デービッド・アトキンソン氏によれば、それは中小企業が多すぎるから、である。
企業の規模と生産性とは明確な相関があり、そしてそれは因果関係である。だから最低賃金を引き揚げ、それに耐えられない様な競争力のない中小企業には強制的に市場から退出してもらうことで、日本の生産性を上げるというのが彼のプランであり、菅首相はこのアトキンソン氏を政府の成長戦略会議の委員に指名した。
NHKもそう言っている
この点は、大廃業時代というNHKスペシャルでも取り上げられていた。この番組は2019年の年末?くらいに放送されたので、まだコロナは騒がれていなかった。だから、今ほど倒産は騒がれていなかった。
この番組では、冨山氏のインタビューを通して、リーマンショック後のモラトリアム法によって、健全な競争下では生き残れない様な中小企業がゾンビ企業として存続することを許し、新陳代謝を阻害して低位に張り付く日本の生産性の改善を阻んでいるという意見を紹介している。(一応、それに反対の立場の人と両論併記の構造になっている。)
現在の苦境は「過剰な資本主義」ではなく、むしろ「資本主義の非徹底」だ
この本は、そのNHKスペシャルで取り上げられていた事業継承デザイナーの本である。
経済学者や大手コンサルの様な立場とは全く異なる訳だが、実務者としても現在の苦境が「過剰な資本主義」ではなく、むしろ「資本主義の非徹底」であるとしている。
調整原理が働くのが資本主義のはずです。ある事業がなくなって雇用が失われたとしても、他の事業に雇用は移るものでしょう。一つの会社がなくなっても、別のところで新たな会社が生まれます。(中略)ところが、中小企業の現場では、このシステムがうまく機能していません。適正な新陳代謝が進んでいません。
廃業は恥ずかしいことではない。経営が傾く原因はいろいろあるだろうが、真面目に働かなかったからというケースは恐らく少ない。多くの場合、構造的な原因なのだ。
「俺、初めて社長らしい仕事している気がする。」「自分の役割をやり切れた気がする。自分を、自分の人生を肯定することができましたよ。」
著者と廃業に取り組む社長の言葉である。会社を畳むという究極の決断。会社と言う器はなくなっても、歴史も人も残る。菅首相は中小企業の再編に言及し、上記の様にデービッド・アトキンソンを起用しているが、それは自民党の集票基盤を直撃することが予想されている。困難な道だろうが、それは企業、と言うより、そこで働く社長ため・社員のためなのだ。
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