[本の小並感 150]交渉術 国家間の交渉も最終的にはキンタマを握り合う個人的な信頼関係が物を言う

読書

ツンドクが7冊

読みたい本が全くない時も多いが、今は7冊くらいが積読されている。ほぼ全て田端さんのお勧め本だ。

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佐藤優は何冊か読んでいるが、今でも持っているのは国家の罠くらいだで、その他は売ってしまった。なんというか、下記の城繁幸のブログを読んでちょっと白けてしまったのだ。

書評:素晴らしく効率的な読書法とその限界 --- 城 繁幸

それはそうとして、やはりこの人は大したものだと思わせる。交渉術のノウハウが体系だって整理されているわけでは無いので、そういうつもりで読むとがっかりするかも知れない。

しかし、北方領土に関する日露交渉の生々しい実態は、それを補って余りある魅力がある。

どうしようもなく人間的

全編通じて特に感じるのは、国家と国家との交渉と言っても、それがどうしようもなく人間対人間で行われるということだ。

例えば、安倍元首相とプーチン大統領、トランプ大統領という、トップとトップの個人的信頼関係の構築ということがよく言われる。これについては、国と国との交渉なのだから、私情は挟まず粛々とやるべきだという批判もあろうが、そもそも相手を交渉の場に引きずり出さなければ交渉自体が始まらない。

だから、首脳会談となればとにかく相手の気を遣う。

小渕氏は、エリツィンやプーチンとの会談の前に必ず「おい佐藤、べからず集を作っておけ」という。公式会談だけでなく雑談の席の場でも相手が不愉快な思いをする話題が何であるか、調べておけというのである。例えば「エリツィンの前ではゴルバチョフの話をしない、アルコール依存症の話はしない」などという項目がべからず集に入れられる。

ソ連はもっと強烈

そんな泥臭いのは永田町だけだと思われるかも知れないが、そんなことはない。ソ連はもっと強烈である。

エリツィンは猜疑心が強い。裸になってウォッカを飲み、その後サウナでふざけ合いながらも側近の行動や言動を注意深く観察している。ショットグラスにウォッカを4、5杯飲むと酔いが少し回ってくる。そこでサウナに入って汗と共にアルコールを出す。食堂に戻る。再び山海の珍味でウォッカを重ねる。そしてサウナに入る。意識が朦朧としてくるとエリツィンがいたずら半分に股間を白樺の枝の束で突っついたりする。これはひどく痛いので、みんな飛び上がる。あるいはサウナの中で男同士のキス合戦になったり、首筋を噛み合ったり、時にはお互いに睾丸を握り合うなど、人間と動物の中間くらいのドラマが繰り広げられる。

一般に、大人になればなるほど論理とデータに基づき、私情を排した冷静な取引による相互利益を実現するものだと思われていると思う。私も中学生くらいまでそう思っていた。というか、不思議で仕方なかった。

しかし、現実はそうでは無い。例えそれが国家と国家との交渉であっても、(もちろん突き詰めた戦略の上ではあるが)最後は人と人なのだ。サラリーマンにとっても同じだ。

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