[本の小並感 149]電池の覇者 なんとなく危ない気がする…日本メーカーの株を買う気になれない

読書

電池は、半導体と同じ道を辿るのか?

かつて日本のお家芸だった電池が競争力を失いつつある。

太陽光発電のモジュールや半導体と、同じ道を辿ってしまうのだろうか。

出典:JIJI.com【図解・経済】太陽光パネルの世界出荷量シェア推移(2019年2月)
DRAMの地域別シェア推移(出典:日経XTECH)
買った、売る

現状1 モバイル用

現在のシェアは図の通り。ADIというのはTDKの香港子会社。村田製作所はソニーから電池事業を引き継いだ。

粘っている
シェア低下が続く

余談だが、ソニーの電池事業売却に当たっては、打倒サムスンを掲げて産業革新機構が間に入って新会社設立のシナリオが検討されていたという。半導体の失敗を彷彿とさせるがそれは置いておいて、著者はその委員として参加しており、当時のソニーの方針転換(売るつもりだった、がやっぱりやめた、でも結局村田製作所に売った)の事情を書いている。この本でほとんど唯一面白かった点がこのところだ。大手コンサルの若手は不眠不休で資料の作成に当たっていたのを思うと気の毒である。

現状2 車載用

現在のシェアは図の通り。しかし、パナソニックのテスラ事業が赤字であることは有名だ。

一人気を吐くパナソニックだが…

これも余談だが、パナのテスラ事業が赤字である理由は、「テスラ向け事業だけ見れば、まだ赤字だ。要因としてはフルキャパシティに達しておらず、立ち上げコストがかかっている点が上げられる。それに生産ロスがまだ多い点も要因だ」らしい。最近やっと四半期で黒字になったらしいが、「今期の黒字化は今の時点では微妙」らしい。何が微妙なのか分からないが、先行投資の回収という面のほか、技術的にまだ発展途上であるということを感じる。

なぜダメなのか

車載用における価値は、次のように変化しているという。従来はエネルギー密度や安全性という差別化要因があったが、最近は価格と投資規模ということだ。

そんなの勝てるだろうか。本書でも液晶やテレビ、携帯、半導体と、同じ末路を辿ってしまうことを懸念している。

期待要素は、価格と投資規模へ

では、どうすればいいのか

この最も肝心な点について、本書は技術を重視しているようだ。「技術で勝って事業で負ける」と言われて久しい中で、珍しい逆張りっぷりである。

確かに、事業を運営するにあたり技術は一要素に過ぎないため、この発言は正しい。(中略)だが、EVやHEVのような従来とは一線を画す製品分野においては技術が製品力に直結するのも事実だ。(中略)技術で劣れば性能に影響し、性能が低ければセットメーカーがその製品を選ぶ可能性が非常に少なくなるからである。

具体的には全個体電池ということだろうか。コモディティ化していないならそれでもいいだろうが、上記に見たように「価格と投資規模」を競うマーケットにおいては、価格も技術の一部となるだろう。

半導体の湯之上氏は、「韓国に技術で勝っていたというが、本当にそうなのか?過剰品質・過剰性能という自己満足に陥り、低価格・ロースペックという市場ニーズを無視して技術に勝ったと錯覚していたのではないか?」という趣旨を述べていた。

不安である。日本メーカーの株を買うかと問われると、躊躇ってしまう。

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