[本の小並感 141]電力システム改革 会社の偉い人はなぜこの本を選んだのか

読書

会社の偉い人

職場の偉い人が交代になり面談ついでに本を読んで感想を書いてこい、ということになった。その課題図書がこれである。先日読んだエネルギー産業の2050年と一部著者が被る(アクセンチュア伊藤氏、東電HD戸田氏など)が、まぁ読む本もなかったしちょうどいい。

電力システム改革が進んでいることは業界の人間なら誰でも知っているが、私はその制度の内容自体を詳細に把握しておく必要はない。それによって業界にどのような変化があり、どこに向かって自身の業務を進めていかなければならないのか。その目星を知りたいのだ。職場の偉い人もその意図だろう。

しかし、結論としてはそのような問題意識に合致していなかった。

会社の偉い人は、この本を課題図書に選んだ

中身は便利用語集

目次をさらっと舐めたとき違和感を覚えたのは、項目が妙に単語単語していてしかもKPIとかそういう一般用語まで含まれているのだ。

この本は電力システム改革の全体像や方向性を示し、そこから起こる業界の構造的な変化を予見し解説するような本ではない。単語の説明集なのだ。

確かに知らない単語や、知っていても理解が曖昧な用語は多い。電力システムの制度設計のような専門的な分野ではググっても中々理解できないことも多く、かといって経済産業省の委員会の一次資料を当たっても理解できるはずもない。

単語の説明と言っても、定義をコピペしたようなモノではなく、業界の文脈を踏まえて実際の使われ方などを説明している。その意味で、このような本が一冊手元にあると(便利な人には)便利だろう。しかし私の期待していたような内容ではなかった。

知ってるつもりなキーワード、意外に知らないことも多い

こういうの便利、最近話題になった容量市場は記載はないが、さらに一個上の行か

んで

私は、会社の偉い人が数ある電力システム改革本の中で、敢えてこの本を選んだ理由が理解できない。

繰り返すが、本自体に価値がないのではない。目的に合致しないのだ。今後の会社の事業の方向性を見定めるに当たってこれが参考図書だろうか。そこまで深く電力システム改革の中身を理解しておけ、ということだろうか。

エネルギー産業の2050年で示されるUXコーディネータの出現などの方がよほど示唆に飛んでいる気がするが…

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