ハンターハンターと比肩するレベルとは思えない 『さよならの言い方なんて知らない。』

読書

こんにちは

みなさんは、どうやって読む本を選ぶでしょうか。本は、ショート動画などと違って読み終わるのに数時間や数日かかることも珍しくないので、買うときはちょっと慎重になりますよね。私は結構、Xなどで著名な人がお勧めしている本を読むこともまあまああるのですが、今回読んだ『さよならの言い方なんて知らない。』もそういう本でした。

具体的には、たらればさんの下記のポストです。たらればさんは、ハンターハンターと比較して、「異能力バトル&知力&戦略、賢くてキュートで最強の幼馴染みがラスボスという世界観」という点を魅力に挙げています。

実際、そういう魅力はあるのかも知れませんが、私はハンターハンターと比肩するような作品ではないように感じました。例えば、主人公がひどく独善的だということですね。

主人公たちが住む街には世界平和創造部という秘密組織があり、対象者にお願いメールを送っています。そのお願いとは、受信者が行った悪事を羅列し、その行為を改めるように、という依頼です。受信者が依頼に従えば何事も起こらないのですが、もし受信者がお願いを拒否した場合、その悪事の証拠が学校にばら撒かれたり、教師や両親に連絡が行ったりします。そして主人公の香屋は、この世界平和創造部の幹部として、対象者にお願いできる立場にあります。

このような行為は、仮に目的が悪事をやめさせるということであったとしても、私人が秘密を握って相手を支配しようとする構図ですので、一般に脅迫や恐喝に近い性質を持ちます。また、手続きに正当性がないので、私的な暴力の行使という意味では、近代社会では禁止されている行為です。それを犯すという意味においては、悪行を行っている受信者と世界平和創造部は同じ穴の狢なわけです。

これが、ハンターハンターであれば、正義の揺らぎや矛盾まで掘り下げます。例えば、ヨークシンでクラピカが団長を人質にパクノダと交渉するシーンでは、パクノダは団長を救いたいという、クラピカと全く同じ思いで交渉に立っているわけです。このセンリツの指摘は、クラピカと旅団の関係を、正義と悪というわかりやすい二元論に矮小化するのではなく、お互いの正義を相対化し、読者自身に何が正しいのかを突きつけているわけです。

パクノダはクラピカと同じ思いで交渉に立つ

正直、『さよならの言い方なんて知らない。』には、そこまでの深さは感じられませんでした。一応、お願いメールが早すぎるのではないかとか、組織内部での虚偽の告発などの課題も示されているのですが、ストーリーの構造的な課題とはされていません。

もしかしたら、今後主人公の香屋の思想そのものが問われるシーンが出てくるのかも知れませんが、続きを読む気になれませんでした。その意味で、あくまでエンタメの読み物として割り切る必要があると思いますが、自分ではおそらく一生手に取らなかったであろう作品に触れられたのは良かったですね。

まとめると

  • 異能力&知力・戦略バトルである
  • ハンターハンターほどの深みは感じられない
  • 自分では一生手に取らない作品に触れられたのは良かった

本日は以上です。また次の読書でお会いしましょう。

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