[本の小並感 156]革命のファンファーレ Love your enemies, for they tell you your faults.

読書

何かと話題の西野さん。

彼にとっては例え批判であっても露出が増える、宣伝効果があるというメリットがあるので、とにかく「相手にした時点で負け」な訳だが、「汝の敵を愛せ」の精神で買ってみた。

評価経済社会の実践

内容は、岡田斗司夫さんの評価経済社会を自身の経験から説明するような内容だ。

ネットが普及した現代においては、オンラインサロンやクラウドファンディングなどの形で、個人の「信用」のマネタイズが容易になった。

  • オンラインサロン。月額1,000円で1,000人なら月100万円の収入になる。実際には、会員数7万人超、年間8億円以上の会費収入らしい。大したものだ。
  • クラウドファンディング。煙突街のプペルの作成にクラウドファンディングで調達した額は5650万円。本書でも解説しているが、寄付型ではないので丸々収入になっている訳ではない。

だから以前のように個人を殺して会社に貢献する必要はない。グルメ番組で不味いものをうまいと言って食べる必要はなく、むしろ、本当に美味しいものだけを美味しいという(そして不味いものを不味いという)方が個人の信用獲得につながるのだ。

信用をいかにマネタイズするか

そしてこの本では、「信用をいかにマネタイズするか」という内容を、自身の経験から解説する訳だが、これが結構面白い。岡田さんの評価経済社会は概念的で分かりにくい部分もあるが、こちらはより具体的で実践的だ。

例えば、煙突街のプペルは、発売から3ヶ月後にネットに無料公開されている。しかし、その結果として200万人が無料でこの絵本を読んだ。仮に100人に1人が本を買ってくれれば2万部が売れることにな。

無料のものをわざわざ買うか?という疑問も湧くが、そもそも人間は結果がある程度わかっているものの確認作業に金を払うのだという。確かに旅行でもそうだが、「そこに何があるのか全く分からない」という状態で目的地を選ぶことはほとんどない。

それと同じように絵本も、どんな内容なのかをお母さんが知っていなければ、買ってくれないのだ。そして実際、売り上げは伸びたのだ。

この小さい子を持つ母親という自分の顧客層の実態を掴み(ペルソナを構築し)、潜在的なニーズを見抜き(インサイト)、露出を増やして認知を獲得するマーケティングは、田端さんや森岡さんの本に出て来てもおかしくない内容だった。ビジネス関係者からの講演需要が多いと効くが、なるほどと納得する。

では、どのように現代の資本たる「信用」を獲得するのか

他方、どのように信用を獲得するか、という点にはあまりページは割かれない。嘘をつかいないとか、そういう話になってしまう。

個人が意図的に嘘をつくのではなく、環境が個人に嘘をつかせるのだ。つまり、テレビ番組の収録では不味いものをうまいという嘘が必要になる。だから、西野さんはグルメ番組はそもそも出演しないという。そして、それでも困らないという環境を作ることが、嘘をなくし信用を作るのだろ。

この点は、田端さんが以前に会社から不正を指示されたらどうするか、という動画で、会社を辞める覚悟で拒否する方がいい。なぜなら、個人の信用に傷がつくからだという話を連想させる。

個人の時代だ、というが、これもネットが破壊したものの一つだろう。企業は従来の雇用関係を維持しなくてもネットで業務がアウトソーシング可能になり、個人もまた一つの企業に縛られる必要ないのだ。

権限とは覚悟だ

本題とは異なるが、煙突街のプペルの無料公開は、吉本や幻冬舎の社長も知らず、下っ端だけで決定して実行したという。理由は、言ったら絶対止められるから、だ。

決定権は偉い人だけが持つ特権だと思われているが違う。「決定権」は覚悟だ。「面白いのですが、いったん持ち帰って上の人間に確認します。」という新人と「面白いので僕が何とかします。」という新人。同じ新人でも後者には覚悟がある。決定権がある。

この覚悟とは、半端ではできないだろう。損失が出たら自腹切ってでも保証するか。もっと言えば、親の老後資金を取り崩してでも補填するか。そのくらいの覚悟が必要だ。しかし、個人的にはここが一番気になった。

Love your enemies, for they tell you your faults.

敵が自分の欠点を教えてくれるからだ、ということだが、私の欠点はこの個人でリスクを取り決定して行動する覚悟だろう。

んで

総じて、内容にほとんど違和感はなかった。いいこと言ってると思った。よく言われるような胡散臭さも(本人が書いた本だから当たり前かもしれないが)感じなかった。

リッチな生活をして、アイドルとヤリまくってます、みたいな身も蓋もない話も羨ましい。売らずにとっておこうかと思う。

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