読み終わったのが年末で、ほとんど感想が出てこない。それは書くのが遅くなってしまったこともあるが、本自体に感想が湧いてこないのだ。が、半分無理やり書く。
2020年10月1日、石原さとみは結婚を発表し、東証を終日全面売買停止に追い込んだ。
価格、特に有価証券の価格には、真偽を問わずおよそこの世の情報の全てが反映される。そして、それを売買する証券取引所というのは、いわば資本主義における 神殿 なのだ。神殿が破壊された、だからあれだけのニュースになるのである。
本書の著者である是川銀蔵は、株式投資で何度も大きな利益を得ているわけだが強く感じるのは 大きな流れ を理解する能力だ。
ソ連の予算ではシベリア開発費とインド農業開発予算が例年に比べ急速に膨張している。各国ともこれだけ予算を特出させていれば、当然それなりの動きは聞こえてくるはずだ。ところが、いずれの国も予算に見合ったようなことはしていない。「これはおかしい。第一シベリアの寒冷地農業の開発がそんなに急に進められるはずがない。」
さらに徹底的に調べた結果、ソ連は極東の軍事力を増大させ、常備兵力を30万から60万人と倍に増強した上、シベリア鉄道の複線化計画が浮かび上がってきた。
つまりシベリア開発費とか、インドの農業開発予算とか平和的な予算項目でカムフラージュし、実際は密かに軍事力を増強していたのである。
この状況を掴んだ著者は、日本の鉄鋼生産能力の不足を補うため朝鮮に渡り鉱山開発と製鉄所を設立。朝鮮総督を務めていた小磯国昭と知り合い、後に小磯内閣への入閣を打診されている(本人が拒否)。相場師というとギャンブラーなイメージになってしまうが、実業にも深く損をしている。
一連のコロナでも、ワクチン開発の流れを理解した人は相当儲けたことだろう。相場は乗るものであり、作るものではない。手前勝手な解釈で都合のいいように動くという意味ではない。「理によって無理に進む」というのは名言だが、是川にとって「理」の詰めが国家全体を含めて足りない、なぜこんなことが分からないのか、と感じたことだろう。
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