先の衆院選で松野さんが当選した。裏金議員として自民党から公認を取り消され、比例登録もないなかでの当選だった。私の実家は彼の選挙区(千葉3区)に近く、通勤通学のバスの中で彼のポスターは見ていたから、彼の政治的な実績や思想はわからないが、官房長官になったときは、「なんかこの人見覚えある」と思い、「偉い人だったのか」と思った記憶もある。
松野さんがXで話題になったのは、彼のエッセーの「政治家はどこで酒を飲むのか」だった。田端さんが下記のように激賞しているが、政治的な主義主張の異なる人でも、彼の文才を認めないわけにはいかないだろう。
伊集院静が成人の日に、サントリーの広告に毎年載せるエッセイのような文章、すごい。 https://t.co/SdJXCXrlRR
— 田端 信太郎@ミノタバ不動産 (@tabbata) February 17, 2024
文章の上手い人というのはいるものだ。近藤聡乃さんは、『ニューヨークで考え中』という漫画で知っていたが、今日読んだ『一年前の猫』もなんとも言えない魅力がある。日常的な妄想の類いは、伝えるのも難しいが、伝え切ったとしてもそれが面白いとは限らない。その点、この作品は、著者の妄想もすっきり理解できるし魅力的だ。
この中に、ヨーグルトメーカーを買う話がある。アメリカ人である夫はヨーグルトが好きなのだ。温めた牛乳にヨーグルトを加え機械に入れる。すると8時間程度でヨーグルトになるのだが、ある日飼い猫がヨーグルトメーカーを眺めている。
飼い猫は、元野良猫で出産後に飼い猫になった。子猫は複数いたようだが、残念ながら一匹を残して死んでしまう。飼い猫がヨーグルトメーカーを眺めて鳴く時、死んでしまった我が子は白猫だったのではないか、と思うのだ。
私は実家で長いこと猫と暮らしていたが、一人暮らしを始めてからは飼うわけにもいかず、現在はもっぱら地域猫に癒されている。その一匹がゴンズさんである。決して美猫とは言えないおばあちゃん猫だが、他の子が気まぐれなのに比べ、ゴンズさんだけはいつも決まった場所にいてくれる。そういう地域に暮らせているだけで幸せだが、今日のゴンズさんが一年前のゴンズさんになる。それを積み重ねて行きたい。
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