何冊かブロックチェーンの本を読んできたが、ブロックチェーンがそんなに素晴らしいなら、なぜビジネス応用が進まないのか。
現状、著者が下記のように書くように、ブロックチェーンの技術と現場の事業とでは大きな乖離がある。この本は、タイトルの通りその谷間を橋渡しすることを目的としている。
私はブロックチェーンの多くのことを理解しようと努めてきたが、正直に言うとかなりつらい仕事だった。ブロックチェーン業界で先見の明がある優れた人々は技術系ばかりで、ビジネスにおける意味や他のビジネスとの接点についての説明が曖昧なのだ。
しかし、はっきり言ってよく分からなかった、というのが正直なところだ。これは当事者にならなければ、永遠に分からないような壁を感じる。
技術やトレンドに強烈なインパクトがあるかは、そこに強力な”ナラティブ(語り)”があるかどうかによる。ナラティブとストーリーとの違いは何か?(中略)
ストーリーは自己完結的なものである。出だしがあり中間を経て結末に至る。一方、ナラティブには終わりがない。結論は出ないし、決まってもいない。ストーリーとは語り手である自分についてか他者についてであり、あなたについてではない。それに対しナラティブの結末は、あなたの行動と選択次第で変わる。結論を決めるのはあなたなのだ。
インターネットとは何か?その疑問に答えられる頃には、日常的にネットに接している現在だからこそ実感を持ってイメージできるように、ブロックチェーンがどのようなものか、それに答えられるようになるのは、それが広く適用された数年後だろう。
別に私がブロックチェーンの勉強をしなくても、ブロックチェーンの産業応用は進み世界は廻る。そのうち「ああ、こういうことだったのか」と思えることもあるかも知れない。
しかし、それでいいのか?というのが、ここ最近ブロックチェーンの本を読んでいる理由だ。私自身が、何らかの形でナラティブを語り得るだろうか。
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