いつか、今の職場の仲間に胸を張って再会できるように

10/20に転職を決めてから早1ヶ月半が経とうとしている。

現在は、現職の引継ぎが始まり一部の人間には既に知られているが、まだ組織にはオープンになっていない。しかし、それも12/7(火)にはオープンになる予定であり、今までよくしてくれた方にずっと感じていた後ろめたさのようなもの(同じ船に乗っているような振りをして会話することの後ろめたさ)はもう感じずに済むと思う一方、みんな驚くだろうな。黙っていたことをよく思わない人もいるだろうな、と不安もある。

そんな彼らに、今まで一緒に働いた仲間に私ができることは何かと言うと、「はっきりと転職する理由を伝える」と言うことではないか。いや、それは私自身のためなのだが、今までハッキリとは言語化できなかったので、退職まであと2週間を切ったこのタイミングで改めて「なぜ転職するのか」をまとめてみたい。

「辞める理由」よりも「いる理由」

田端さんは、会社を「辞める理由」よりも「いる理由」を考えようと言っている。

会社に入ることは、株を買うことに似ています。会社に自分の時間を投資するわけですから、会社を選ぶのは何かしらの目的があるはず。

僕は株を買うときに、その理由を紙に書いておくのですが、会社に入るときも同じです。入社時に書いた「何のためにこの会社に入ったのか」は節目ごとに見直して、自分がここでやりたいこと・やるべきことができているのか、判断の基準にするべきだと思っています。

そもそも理由があって会社に入るのですから、それがなくなったらゼロベースで進退を考えるのは当然のこと。これにはいろいろな考えがあるでしょうが、僕からすると「辞める理由」がないから同じ会社にい続けるというのは、貴重な人生の時間がもったいないと感じてしまうのです。

私は今の会社に、それ程強い意志で入社した訳ではなかった。

あまり良い大学時代を過ごせなかった私は、新卒と言うカードを持ちながら就活に苦労し、本気で鬱になり自殺まで考えた。実家暮らしはつらく、食事をしても会話はなく、暗い部屋で半分引きこもるような生活だった。

朝、パートに向かう母親の紺のトゥデイが山の向こうに消えていくのをみて、絶望とはこう言うことかと思い知ったものだ。

そんな私に会社を選べるはずもなく、ただ採用に苦労していたであろう今の会社に滑り込んだのである。だから、田端さんの言うような「何のためにこの会社に入ったのか」などと言う理由などないのだ。

では、なぜ辞めるのだろうか。その前に、これまで仮にも15年間勤めてきた内容を振り返ってみたい。

幼年期(2007年〜2010年、4年)

全く仕事ができなかった。先輩におんぶに抱っこだった。何年そんな半人前の状態が続いたのか正確には思い出せないが、入った当初は慣れない話題、人間関係にストレスを感じまくりで、どうしようもなかった。

仕事に身が入らず、会議中に居眠りをし、いつまで経っても先輩から独立できなかった。この頃は、本当に辞めようやめようと思っていた。せっかく入った正社員の会社であるにもかかわらず、である。

しかし、いつの頃からか流石に少し慣れてきて自分のやり方で業務を進めたいと感じることが多くなってきた。先輩にやり方に「そうではないだろう、そうはやりたくない」と感じることが増えてきて、今度は自分の思う通りに進められないことにストレスを感じるようになった。全く自分勝手なものだが、この時の経験から「ある程度責任を与えて任せてみる」と言うやり方の重要性を学んだ気がする。

充実期(2011年〜2016年、6年)

転機は2011年の10月頃である。同僚が退職することになり、その後任として新しい業務が割り当てられたのだ。最初は大変だったが、それまで点だった知識が、線として繋がり、面積をもち、立体的に立ち上がってくるように、技術や業界の全体像が体系立って理解できるようになった。

この頃は結構大変だったが、独り立ちし、自分の思うやり方で業務を進められるようになって、充実した日々だった気がする。この頃になると、「辞めたい」と思うことはほとんどなかったように思う。現在の自分の業務に疑問を抱くようなこともなかった。今から思うと、15年間で、一番平和な時期だったかも知れない。

ただ、一方で課題もあった。与えられた業務をこなすのではなく、自分から課題を立てて、新しい事業として提案し、成立させたい。そう思うようになったのである。そして、それこそが私の業務の本質的な価値なのだと思うようになった。ここでは、レイヤー2提案と呼ぶ(後でレイヤー1も出てくる)。

このことは2017年の年初に書いているが、問題意識自体は2012年か2013年くらいに芽生えていた気がする。

新規WGの立ち上げ

もう何でもいいから立ち上げたい。現在の業務についてから、もう5年ほど経ち結構慣れてきた。快適ではあるが、いつまでも同じ仕事ができるという保証はなく、この分野で今のうちに何かレガシーを残して置きたい。私の仕事は広く浅くなので、他の分野の知見を他に活かせるかが勝負な気がする。かなり不純な動機なので、テーマが決まっていないが、試験・認証関係で何かできないものか。

最近退職に向けてPCのローカルファイルを整理しているのだが、この頃の資料にそのような内容のものがあるのだ。しかし、日々の業務に追われる中で、この課題意識は棚上げになり、結局現在まで達成できずにきてしまうのである。

疑問期(2017年〜2021年、5年)

そのような課題は感じつつ、そして何件かアイデアもありつつ、調査もしつつ、結局身のある内容を提案し事業として形にすることはできないまま、日々の忙しさにかまけていた。

2016年か、2017年かそのくらいと思うが、昼食を取りに出た際に同僚に「なんか最近、やる気出ないんですよね〜」と呟くと、その同僚からは「お前、もうそれ元に戻らないよ」と言われたのをよく覚えている。当初私は「そんなことあるか」と思い、あまつさえその同僚に「あなたはそうだろうが」とまで思ったのである。しかし、結局その同僚が正しかった。

この充実してはいるが、何となく退屈、という心情は2019年の年初に書いている

7月から業務が増えた。過去一時期担当していた案件なので全く知らない分野ではないが、物量としての業務は純増となり、かなり残業が増えた。今は36協定ギリギリにあるため強制的に帰宅させられるが(当然だが業務量は変わらない)一時期は帰りが22時ごろも珍しくなく、近くの牛丼屋や中華料理屋で夕飯を食って帰り寝るだけの生活だった。

仕事は、やや退屈である。

つまらない訳ではないし、自分の思う通りにある程度プロジェクトが進むのは気持ちがいい。しかし、12年間続けてきた業務、見知ったメンバーで居心地はいいが、緊張感に欠ける。IoTの波は私の分野にも無関係ではあり得ないが、それは私の業務には直結しない。なすべきことを成す。それは必要なことだが、それでも少し退屈なのだ。

これは、私のいる業界自体が先端的な分野ではなく、20年前も似たような議論をしているような、悪く言えばある種のレガシーデバイスだからというのもある。ダイナミックな変化に乏しく、安定はしているが変化の余地が少ないのだ。

そういうこともあり、この頃になると「既存の事業の範囲内で新しい提案というのは無理である。そうではなくて、もっと違う領域の方で勝負すべきではないか?」という疑問も出てくる。特定の製品分野での提案ではなく、共通的な部分での提案。活動のレイヤーが一つ下げる、と言えば良いだろうか。ここではレイヤー1と呼ぶ。それこそが、自分の会社の存在意義、自分しかできない提供価値ではないか、と感じるようになった。

これは既存領域で新しい事業を提案できなかったことへの「逃げ」ではない。構造的な問題として、素直な結論であると思う。「レイヤーを一つ下げる」という方向性はいいし、テーマもあった。それは正社員の解雇規制の緩和である。日本経済の問題点は数限りないだろうが、私は正社員の強すぎる解雇規制こそが、日本が成長できない最大のボトルネックであると考えていた。しかし、テーマがデカすぎて、具体的な事業計画に落とし込むことができなかった。

 

そして、それとは別に2019年の年初に次のように書いている。

新しい分野に自分自身の問題意識で取り組む。そういうことになるだろう。それはそれで、小さくとも価値のあるチャレンジであると思う。

だが、それはそれとして、転職を考えてみたい。

私の今の直近の上司も、30代で同じような疑問に突き当たったという。こういう話も退職を切り出さなければしなかっただろうが、彼は業務がマネジメントに移ることによって、マンネリが解けて自身の業務にやりがいを見出すようになったという。

しかし、私の場合は上に4人ほど控えており、管理職になり、事業計画を立て、予算を執行するということはかなりハードルが高いのも事実だろう。完全に年功序列なのだから。

一応書いておくと、レイヤー1提案も、レイヤー2提案も、マネジメントも、言おうと思えば言うことができたので、組織のせいにする気は全くない。完全に自分のせいである。上記と同じ記事で田端さんが書いている通りだ。

課長がダメなら部長、部長がダメなら本部長、本部長がダメなら社長にまで直訴すればいいのに、そこまでの行動は起こしていない。だからダメだったんじゃないの?と思わずにはいられません。

その意味で、いろいろ課題はあるように見えるが、自分のせいでもあるのである。組織のせいにしたくない。

なぜ転職するのか。いつか、今の職場の仲間に胸を張って再会できるように

まとめると次のようになる。

  1. レイヤー2(プロダクト)の挫折
  2. レイヤー1(ベーシックな競争環境)の挫折
  3. 管理職(マネジメントへの移行)への挫折
  4. 業界への挫折(レガシーデバイス)
  5. プライベート

これらの要素が複雑に絡み合っている。しかし、あえて言えば一番大きな要素は、 「レイヤー1(ベーシックな競争環境)」 だろう。これができないと、私が今の会社にいる意味がないのである。冒頭、田端さんが「辞める理由」よりも「いる理由」と言っているが、それがないのである。

だから、次の職場ではレイヤー1の、業界のベーシックな競争環境を整えるような活動をしたい。

しかし、そのためには慣れない業界、慣れない人間関係の中で、勉強し、新しいスキルも身に付けねばならないだろう。今まで経験したことのないことにチャレンジしなければならないだろう。恥もかくだろうし、迷惑もかけるだろう。15年前のあの日、今の会社に入った頃のように。

正直、今はストレスマックスで、豆腐メンタルの私は弱音を吐いてしまうこともある。むしろ、その方が多い。しかし、

いつか

今の職場の仲間に胸を張って再会できるように

がんばります。

ありがとう。

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