2017年に積水ハウスが地面師に63億円を騙し取られた事件は、下記のような理由からネットのみならず一般でも結構話題になった。
- 大手のハウスメーカーの醜態
- 騙し取られた金額の大きさ
- カミンスカスという犯人の名前
- 回収不能とみなされ特別損失として計上された55億円の行方
- 内部の共犯者の有無
- 会長と社長のお家騒動
- 株主代表訴訟 etc
この本は、その事件を元にした小説なので、犯人たちがどうやって、積水ハウスのような大手企業が騙したのかが分かるわけだが、しかし、書類を偽造して土地の所有者になりすます、という恐ろしくアナクロな手口に逆にびっくりする。こんな陳腐な仕掛けで騙せる物なのだろうか?とネットを調べると下記のようなツイートがある。
1については、制度がどうなのかと思うが、一度動き出したシステムにロックインされ非合理的と分かっていても過去からの運用を継続せざるを得ない場合もあるだろう。
問題は2である。
ナニワ金融道でも、ヨットの登記で騙されてしまう話があるが、末期社長は「欲やがな、欲が眼力を狂わすんや」と答える。積水ハウスがなぜ騙されたのか。このシンプルな問いの本質はここにある気がする。
実際、この本でもうまい物件情報を入手するために町内会に入って情報を集める社員の話が出てくるが、不動産業界というのは「そういうもの」なのだ。正直、本としてのクオリティはイマイチだったが、不動産業界の魔界っぷりを少し感じることができる。
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