[本の小並感 139]ゲーム理論がよく分かる本 

なぜゲーム理論の本を読もうと思ったか

ゲーム理論て何かバカみたいだと思っていた。ゲーム、だし。

しかし池田さんのブログを読むと頻繁にゲーム理論を現実社会に応用した記事が登場する。例えば、局所効率化と全体最適化では、長期的な人間関係を利用したモラルハザードの防止メカニズムが極めて安価に信頼性確保を実現する一方、競争を阻害して局所最適な均衡に陥ってしまうことをゲーム理論の観点から指摘している。ここで長期的関係というのは、ゲーム理論的に言えば繰り返しゲーム、ということになるのだろう。なぜそうなる?という理解に苦しむ事象をゲーム理論を使えば綺麗に説明できるのだ。

その他にも、日本の「安心」はなぜ、消えたのかメカニズムデザインなどゲーム理論を応用する記事が、私のブックマークに多く残っている。なので、ゲーム理論の用語はいろいろ知っているのだが、ゲーム理論の勉強自体はしたことがないので、例えばナッシュ均衡と言っても、自分で使えて他人に説明できるほど理解していない。というわけで、入門書を買ってみた。

ゲーム理論がよくわかる本

自分の仕事への応用

もう少し、この本を読もうと思ったきっかけは、今の仕事である。誰もやらなかったら大変なことになるので、誰かがやらなければならないが、本当は誰もやりたくない。そんな仕事を今やっており、その業務の分担を他社と交渉しているのだ。

これまで交渉術のようなハウツー本は読んでこなかったが、ゲーム理論で言えばこのような業務はチキンゲームになるのだろう。チキンゲームにおける戦略が理論的に存在するのであれば、参考になるかもと少し思った(あまりならなかった)。なお、囚人のジレンマには支配戦略があるが、チキンゲームとはそれがないという点で両者は異なる。

んで

内容は良くも悪くも教科書的で基本的な用語の意味は網羅されているのだと思う。ナッシュ均衡、繰り返しゲーム、アローの一般不可能性定理、進化ゲーム理論、不完全情報ゲーム、メカニズムデザイン、ヴィックレイオークションなど、基本的な用語が(ごく簡単に)説明されている。

それに加えて割と現実世界への応用が記載されていてまあ悪くなかった。プリンシパル・エージェント問題は従業員の給料の問題に、完全情報ゲームは情報共有の重要性に理論的なバックボーンを提供してくれるかもしれない。もう少しゲーム理論の本を読んでみようと思う。

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